島の男は、もうかりそうな、おおきな仕事に
巡り会えても、仲間たちに分け与える気分の
良さに酔いしれて、自分の分を取り忘れた。
否、取り忘れたのではない。
計画がなかった。ザックリ勘定。見栄っ張り。
経営能力の、無さ?勉強不足?
島の男の妻は、いい知れぬ不安に襲われた。
島の男は、なぜ、最後に、自分の分が
残ってないのか、考えようとしなかった。
逃げたかった。目をつむりたかった。
調べてほしくなかった。
ザックリ考えた。考える暇もなかった。
いつも、いつも、いっぱいいっぱいだった。
妻は、男を、じっと見ていた。