ある島の男とわたし

小さな会社の社長である夫とわたしのこと

自分の分を取り忘れる男

島の男は、がんばる男だった。

朗らかで、明るく、いい人間だった。

たくさんの仕事をこなした。

おおきな仕事を得る素質もあった。

おおきな仕事が来たときは、みんなにも

分けてやった。男は誇らしかった。

その前に見栄っ張りだった。


共存共栄。


それが男の好きな言葉。


だかいつも、自分の分を取り忘れた。

どんなにおおきな仕事が来ても、

最後にはいつも、何にも残らなかった。