ある島の男とわたし

小さな会社の社長である夫とわたしのこと

すぐ逃げる男

島の男は、少しでも妻とケンカをしたり

意見のぶつかり合いをすると、家に

帰らなかった。または、妻の作った

夕食を食べないことが、男のささやかな

できる限りの反抗だった。



男は知らなかった。



それを繰り返せば繰り返すほど、

男は家族にとって、必要な存在では

なくなってゆくことを。



本当は、いつだって家に帰り、話し合う

ことが必要だった。